糖尿病は、血糖値が高くなる病気です。 糖尿病は基本的には、遺伝が関係しています。しかし、生活習慣が昔とは異なるため、ご家族に糖尿病の方がいなくても、糖尿病ではないとは断定できません。たとえば、家族に心筋梗塞や脳梗塞が多い方は、糖尿病のある家系の可能性は高いと考えられます。 糖尿病の原因はすい臓から分泌されるインスリンの作用が不足するために起こります。インスリンは食べた食物(特に糖質と炭水化物)を体で利用するために必要なホルモンです。したがって、インスリンを体で利用できないため、血糖値が高くなります。 では、なぜ糖尿病になるのでしょうか? |
原因は主に3つ存在します。
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初期は症状が全くありません。しかし、血糖がかなり上がってくると、「口が渇く」「尿が多くなる」「体がだるい」「おできが治らない」などの症状が出てきます。さらにインスリンが出なくなってくると、「ケトアシドーシス」という状態になり、体の中が酸性になることで昏睡状態に陥り、治療されなければ生命の危険も出てきます。 ただし、一般的に問題となるのは、次に記すような合併症です。 |
主に血管の合併症が起こります。血管の合併症は、細い血管の合併症と太い血管の合併症に分かれます。 細い血管合併症は、HbA1c7%以上の状態が10年以上続きますと起こる可能性が高くなります。糖尿病の3大合併症と言われる
太い血管の合併症は心筋梗塞、脳梗塞、足の壊疽などが挙げられます。これらの合併症は細い血管の合併症と異なり、血糖がさほど高くなくても起こることがあります。血糖以外の高血圧、高脂血症、肥満、喫煙などが関係します。特に問題となるのは、内臓脂肪がたまる肥満です。内臓脂肪からは、動脈硬化を起こす物質がたくさん出ています。多くの糖尿病の患者さんは糖尿病を発症する前に肥満の時期が存在するため、糖尿病発症以前に動脈硬化がすでに発症しています。また、糖尿病発症以前に多くの方が高血圧や高脂血症なども合併してくるため、動脈硬化はさらに進行する可能性があります。このような患者さんでは、「薬物を服用して血糖値を正常化しても、肥満を放置している限り動脈硬化を抑えることはできない」ということを理解することが重要です。 以上の合併症の他にも、多種多様な合併症を起こしてきます。これらは生活の質を著しく低下させてしまうので、経済的・社会的・精神的な負担を増大させます。 |
糖尿病と診断されて来られる患者さんは、空腹時血糖が高くなって初めて受診される方多いのが現状です。多くの場合、糖尿病はまず食後血糖が上がってきます。このため、空腹時血糖で糖尿病と診断される場合、糖尿病の発症は数年前であることが少なくありません。できるだけ早期に診断するには、食後血糖または食後尿糖を調べることが重要となります。特に、ご家族に糖尿病がいる方は、無症状で空腹時血糖が正常であっても一度ブドウ糖負荷試験を受けることをお勧めします。 では糖尿病の判定基準を見てみましょう。
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治療の原則は食事療法と運動療法です。これらにより血糖値が目標まで改善しない場合に、薬物治療を行います。食事・運動療法を行わずに薬物療法(インスリン、SU剤などのインスリンを増加させる)を行うと多くの場合体重が増加し、体から分泌されるインスリンも過剰に消費されるため将来的にインスリンが出にくくなっていきます。体重が増加するということは、多くの場合血糖値は再び増加するため薬物がさらに増えることになり、最後はインスリン注射を行わざるを得なくなります。 糖尿病の薬物は大きく分けて、
1.には、インスリン注射とSU剤(アマリール、オイグルコン、ダオニール、グリミクロン)です。これらの薬は食事・運動療法を行って肥満を是正したにも関わらず、血糖値が十分下がらないときに適応になります。SU剤はインスリンの分泌能が低下すると効果が出ません。高血糖状態でSU剤を使い続けるとインスリン分泌能は急激に低下します。このような場合はインスリン注射を行うしか方法はありません。 2.には、インスリン抵抗性改善剤(インスリンの量ではなく、作用を増加させる:アクトス、メルビンなど)とα-GI(血糖の食後の吸収を遅らせる:ベイスン、グルコバイ)があります。これらの薬はすい臓からインスリンがある程度出ている間であれば、血糖値を下げることが可能と考えられます。 このように、糖尿病の治療は食事療法と運動療法を基本にして、地道に根気よく行うことが必要です。血糖が上がれば薬剤を増やすという治療は慎重に考える必要があります。糖尿病の治療には疾患に対する正確な知識と経験を必要とされます。糖尿病学会では専門医を認定しております。 |
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